2016年12月04日
すぐそばにある介護
すぐそばにある介護 2016年12月2日
先日、介護の現場で、お話を伺ってきました。
伺ったのは、「SOMPOケア ラヴィ―レ 衣笠山公園」。
テラスからの眺めが爽快な、介護付有料老人ホームです。
■なぜ加藤裕介が介護の現場にお邪魔したのかというと
まちづくりの上で、「生老病死を考えること」が一番大切だと思うんです。
「生老病死(しょうろうびょうし)」とは、人生において免れられない四つの苦しみのことを言うそうです。安心して子どもが生み育てられる、安心して老いることができる、病にかかってもケアが受けられ、そして心やすらかに最期を迎えられる、そんな横須賀を私はつくりたい。
でも、実際現状では両親、幼なじみの親と話していても、「老」への不安はつきない。少なくとも、老いを円熟と捉え、祝福できる雰囲気にはなっていない。
そんでですね、改めて「老」について考えてみたときに、
20年後(2035年)に、
1)市の人口が33万人になるだろう
2)市の子ども(14歳以下)が3万人(人口の9.8%)に減るだろう
3)市の高齢者(65歳以上)が11万人(人口の33.5%)に増えるだろう
と予測されている(※1)以上、いま介護のことを考えないと、いまの制度では高齢者を子ども世代が支えることになっているから、取り返しがつかないぞ…という将来への危機感があるわけです。放っておいたら、幸せな最期を迎えられる未来が描けない。今やらねば…。と
我が加藤家でも、祖父(父方)が2004年から、週に2回の人工透析を必要として以来、祖父(父方)→祖母(母方)→祖父(父方)と足掛け10年間、何らかのケアが必要な家族のいる状態が続きました。私の母がパートタイムワーカーで時間の調整がきき、ちゃきちゃきと動いてくれたので、昨今あるような「あの患者さん・利用者さんの家族は誰も訪ねてこない」問題にはなりませんでしたが。
祖父(父方)は2011年に、祖母(母方)は2012年に、祖父(母方)は2015年に、いずれも「入院できるぎりぎりまで入院した直後」、病院で他界しました。せめて私が恩返しできるまで生きていてほしかったと悔やむ反面、「3人とも在宅介護となり、プラス5年、プラス10年と介護が必要となっていたら、加藤家(特に母)はどうなっていたのだろうか…」と複雑な思いもあります。
■今回お邪魔した介護付有料老人ホームとはいかなるものか
「介護施設って、たくさんあって何が何だかわからない」
と、みなさん感じていると思います。
その中で、「介護付有料老人ホーム」とは、何か。
ずばり、「住居」です。
一部屋一部屋が、アパートの一室だと考えればわかりやすいです。
従業員のみなさんは「ご自宅にあがる」という意識を持って、利用者さんに接していらっしゃいました。車いす移動がしやすいように廊下は広く、室内もとても清潔です。
そのうえで、「医療・看護・介護サービスが提供される」住居です。
そのため、寝たきりでも入居可能なところもあります。
※ご参考までに、その他の介護施設との違いがわかるサイト。あくまでご参考までに!実際にホームを利用する際は必ず専門家(ケアマネージャー)にご相談を。
http://www.minnanokaigo.com/guide/type/
■どんな生活なの?
まず、入居されるかたの特徴ですが、認知症のかたが増えているそうです。
家族のケアが限界に達し、医療ケアもできる介護付有料老人ホームへ…という流れです。
ラヴィ―レは、お医者さんがホームまで訪問してくださいます。医療・看護・介護が密に連携して、手厚くケアされています。
利用者さんが寂しくないように、毎日お楽しみのイベントも用意されています。健康体操をしたり、土日にはボランティアがお歌を歌ってくれたり。
当然、毎回ボランティアが来られるわけでもなく、お金を払って講師をお招きすることも多いので、ボランティアは大歓迎だそうです。合唱部、室内楽部、演劇部、放送部の小中高生なんか大活躍できますね。
平均介護度が2.0程度。入居者98名(女性78名:男性20名)。平均年齢が88歳。
平均年齢が88歳ときき、「うひー」と驚きましたが、一部データでは全国の介護付有料老人ホームの入居者平均年齢も85歳(※2)らしいので、さほど珍しい状況ではないようです。
■おもったこと
あまりにも当たり前のことばかりなのですが、思ったことを記します。
1)介護にかかる費用は見通しにくい
これは、介護付有料老人ホームの入居に限らないことです。
介護は、いつまで続くのかわからないところが、大変なところです。
特に、かかる費用の不安が、介護をする人に重くのしかかります。
2)幸せな最期は、最期を迎えるその瞬間に、本人が選びとれるのだろうか
私の祖母(母方)は、風呂場で倒れて意識不明、頭部に溜まった水が原因で認知能力が低下し、その後食事がとれなくなり胃瘻をあけ、病院で亡くなりました。倒れてから亡くなるまで、8か月でした。
祖母は生前、医療系のテレビをみながら、「病室でチューブだらけになって亡くなるのは、私どうしても嫌なのよ~」としきりに言っていたのですが、まさにその通りの姿で最期を迎えてしまったことを、母も私もとても悔やみました。
ラヴィーレでお会いできた利用者のかたがたは、手厚いケアを受けることができ、私の眼には、とても幸せそうにみえました。ただ、本人のご意思がどうあるのかは、別だとも思いました。今の日本で、人生の円熟期の理想的な過ごし方は、それこそ若い時から真剣に考えて、やっとつかみ取れるものになってしまっているのではないか…と。
■さいごに
ラヴィーレをご案内くださった皆様、ありがとうございました!
また、このブログをご覧の方で、
「この施設も訪問しなよ」「案内してあげるよ」
などございましたら、ぜひ加藤裕介にご連絡くださいませ。
※1
「横須賀の将来予測と対応すべき政策課題の研究」報告書、2015年2月横須賀市都市政策研究所
https://www.city.yokosuka.kanagawa.jp/0110/upi/jouhou/documents/2014syouraiyosokukenkyuu.pdf
※2
「<な~るほど介護>高齢者の施設選び 種類や特徴の違い考慮を」東京新聞、2016年3月30日、http://www.tokyo-np.co.jp/article/living/life/201603/CK2016033002000181.html