2023年09月04日

【疲れたときに少し休める場所がある環境づくり】(2023年8月31日 一般質問その①)

2023年9月定例議会が8月30日から始まり、私は31日に一般質問を行いました。
3回に分けて、報告ブログを記します。

■疲れたときに少し休める場所がある環境づくり


 本市の高齢化がますます進行する中、日々の移動にご苦労されるかたを街中で見かける機会がとても増えました。住宅街からバス停のある大通りにでるまでの途中で、暑い中、花壇のへりや、階段に手拭いを敷いて腰掛け、何度も休みながら、歩かれているかたを見かけたりもしました。
 高齢の方の中には、ほんの少しの徒歩での外出でも、途中で休憩が必要な場合があります。免許証を返納し、もっぱらバス移動となり、バス停での待ち時間に立ち続けるのが辛いとのお声もよく伺います。疲れたときに少し休める場所が必要だと感じます。

 また、今年の夏の異常な暑さは、日本のみならず、史上最も地球の平均気温が高いひと月に7月がなったとの報道もあるほどでした。日中の屋外を歩くと、強烈な日差しのもとで、日陰の重要性を感じます。災害級の危険な暑さの中で外出を控えるべきですが、「どうしても病院に行かなければならない日、行き帰りのバス停留所で、強烈な日差しを浴びながら、ベンチも日よけもなく待つのは二重につらい」という状況などをよく伺い、何か対策ができないものかと考えました。

 日陰が無い公園で、フライパンのように熱せられた遊具・健康器具・ベンチも見かけますよね。えてして、公園のベンチの上にパーゴラ(屋根板の張っていない屋根みたいなもの)はよく見かけるのですが、日よけにはならず、老朽化し見た目にきれいともいえないものもあり、正直、何のために設置したのかよくわからない状況にもなっています。

 そして、散歩やジョギングをしていると、公園に自動販売機あると、ちょうどいいのになぁ…と思うことがしばしばあります。特に暑い季節はそうですが、屋外で適切な水分補給ができているか否かは、命に関わります。「公園に行けば自動販売機がある」というわかりやすい形にしていけば、住宅街など店舗が近くに無いところでも、適度に体を冷やし、必要な水分補給を行う上で有効ですし、散歩やジョギングしている人の多くはスマートフォンを持ち歩くか、apple watchなどを身に着けていますから、キャッシュレス決済ができる最近の自販機ならば現金もいりません。災害救援ベンダーにすれば停電時の飲料供給にも役立ちます。

 このように、選挙の時に掲げた【3.何歳になっても暮らしやすい環境をつくります】に関連して、質問を組み立て、上地市長に問いました。なお、質問の作成に当たっては、google formsを使ってのアンケートにお答えいただいた皆様からのお声も参考にし、市内を歩き、現場を確認いたしました。ありがとうございました。




■部局執筆の割と保守的な答弁と比べて、上地市長自らの言葉で語った答弁はかなり前向き


答弁としては、要約しますと…

①ベンチの設置・・・狭い歩道が多い本市ではベンチ設置場所は一部に限られてしまうため難しい。ただ、ベンチは体を休めたり、町の賑わいづくりに必要なものなので、市民要望には実情を伺いながら丁寧に対応する。

②日よけの設置・・・バス停は、バス事業者が日よけ・雨除けになる施設を設置している。今後、設置要望があった場合、現地の状況をみながらバス事業者と調整する。また、公園のパーゴラにすだれ等をかけることは構造上・安全上難しい。今後、つる性の植物をはわせて緑陰をつくるなどのアイデアを含め、地元町内会のご意見を伺いながら、日陰を作ることを検討する。

③自動販売機の設置・・・ 公園に自動販売機の設置が進まない主な理由は公園利用者数のニーズ把握ができていないこと、実際に設置を行う飲料メーカーの収支の課題が影響していること。今後は、公園に設置が進むよう、複数の飲料メーカーに対し、積極的な声掛けをおこなうとともに、飲料メーカーから設置の意思が示された際には、市も全面的に協力したい。


というものでした。

なお、要約した答弁は、私の一問目の質問に対する答弁なので、部局が綿密に市長と協議し、部局が一言一句用意した答弁です。いわば、「部局が書いた答弁」という性質が強いものです。

この答弁を「結構前向き」ととらえるか、「対応は難しいという部分が部局の本音」ととらえるかは、この一問目の答弁を聞いた時点では、まだ何とも判断はできないという感覚を私は持っていました。

この後、一問一答形式で上地市長に答弁を求めていったところ、②日よけの設置 ③自販機の設置 は部長答弁となったのであまり変化はありませんでしたが、 ①ベンチの設置については、だいぶ違った印象でした。

①ベンチの設置について、この質問をするにあたっていろいろと調べたところ、市役所には設置要望がほぼ届いていないことがわかりました。しかし、議員はそこかしこで「ベンチがほしい」といわれる。私は、このギャップに、本当はベンチが欲しいという市民がたくさんいるけれど、その声が市役所まで届けられていない、というニーズが隠れているのではないか?と考え、これを問うたところ、上地市長からは以下の通り、かなり前向きなトーンでの答弁が返ってきました:

ーーーー
●上地市長
 私もかなり大勢のかたと接しますが(ベンチ設置要望は)あまり聞いたことはないですね、直接的には。(しかし)私自身が(ベンチが)欲しい、あるべきだと思っているのは事実なので、どうしたらいいかなというのはいろいろ考えていたところです

▽加藤ゆうすけ
方法として、どこまでの範囲で、どこまで細かく聞くかで行政職員の方もご負担が変わると思いますけれど、今回、質問の中では連合町内会等というような、ある程度大きなくくりも示しました。ぜひ、ニーズを聞こう、ということに関しては積極的に意識を持っていただけるよう、部局に言っていただけないでしょうか?
 
●上地市長
 了解です。何らかの形で、意見集約したいなと思っています

ーーーー

一問一答形式での一般質問が意義ある点としては、こうした、「市長と直接質疑すると、市長の考えがよくわかる」ことだと思います。市長をリーダーとする執行部は、数千人の職員一丸となって答弁作成をしていますから、基本的には市長の答弁=部局の執筆する答弁です。しかし、市長の心の中といいますか、思いの部分は、直接やりとりをする中でしかわからないものが結構あると、6年議員をやってみて感じています。

あと2回に分けて一般質問の報告を続けますが、このほかの部分でも、上地市長の思いを感じる答弁がいくつかありました。

そういう意味でも、みなさんにぜひ一度、本会議場に直接傍聴にいらしていただければうれしいです。


以下に、質疑の書きおこし全文を掲載します:

ーーーー
1 暮らしやすい都市環境づくりについて
(1) 疲れたときに少し休める場所がある環境づくり
ア 歩道へのベンチ設置に関する本市の実態把握及び研究の進捗状況と方針について
●上地市長
本会議でご質問をいただいて以降、好事例の収集など研究を進めてまいりました。具体的には令和元年に、政令市・中核市120以上の自治体取り組み状況を調べ、その中から、整備指針を作るなど積極的に取り組んでいる神戸市・松戸市を選び、職員が視察に行きました。視察結果から、整備を進めるうえで、歩行空間の確保が大きな課題と改めて認識できました。全庁横断的に検討した結果、本市はその地勢上、狭隘な歩道が多く、設置場所が一部に限られてしまうことから、あえてベンチ整備の方針を作る必要はないという判断に至ったところです。
ただ、街中のベンチは、高齢者など移動にご苦労されているかたにとって、体を休める上で本当に重要なものであり、また町の賑わいづくりの観点からも効果があるものだと思っています。市民の皆様からの要望に対しては、それぞれの実情を伺いながら、丁寧に対応していきたいと考えておりますし、たとえば、よこすか海岸道路など賑わいづくりに必要な場所への設置は積極的に進めていければと思っております。
 
イ ベンチの設置に効果的な場所を調査するための意見聴取について
●上地市長
ベンチの必要性は感じていますが、ベンチの効果的な設置地域については、広く意見をきくというよりも、ニーズをしっかりととらえるために、一つ一つの要望に丁寧に対応してまいります。なお、これまでも要望に対しては十分な歩道幅員が確保でき、近隣の理解を得たうえで、ベンチの設置を行ってまいりました。引き続き、そのような要望があった場合には、歩きやすい歩行空間を確保することを前提に、地域の実情を考慮してベンチの設置を検討してまいります。
 
ウ 日よけを造ることについて
●上地市長
バス停については、現状においても、バス事業者が日よけ・雨除けになる施設を設置していると認識しています。今後、設置の要望があった場合には、現地の状況を勘案し、バス事業者との調整をはかってまいります。また、公園のパーゴラにすだれ等をかけることは構造上・安全上の課題が残るため対応は難しいと考えますが、今後はご提案いただいたつる性の植物をはわせて緑陰をつくるなどのアイデアを選択肢に含め、地元町内会のご意見を伺いながら、必要な箇所に日陰を作ることを検討してまいります。
 
エ 様々な利点のある自動販売機を公園に設置することについて
●上地市長
公園内の自動販売機は夏の熱中症対策に有効であり、公園利用者の便益に供する施設として、指定管理公園を中心に多くの公園に設置されています。ご指摘の通り、街区公園内に自動販売機の設置が進まない主な理由は公園利用者数のニーズ把握ができていないこと、実際に設置を行う飲料メーカーの収支の課題が影響していることと考えます。こうした中で、今後は、街区公園に設置が進むよう、複数の飲料メーカーに対し、積極的な声掛けをおこなうとともに、飲料メーカーから設置の意思が示された際には、市も全面的に協力したいと思います。

ーー以下、一問一答部分ーー

(1) 疲れたときに少し休める場所がある環境づくり

ア 歩道へのベンチ設置に関する本市の実態把握および他都市の事例の収集・研究状況について(企画調整課)
イ ベンチの設置に効果的な場所の調査からまずは始めることについて(企画調整課+道路維持課?)

▽加藤ゆうすけ
幅員が狭いのでなかなか本市で難しいとはおっしゃる通りかと思います。かつては、市の管理する歩道上に、勝手にベンチや椅子を置いてあったこともあったと思いますし、それは歩道の幅と安全な通行を確保するうえでは問題だったわけですけれども、ただそこには、「どうしてもベンチや椅子が必要」という市民の願いやメッセージだったのだと思います。この質問をするうえで、会派で話していて、座って休める場所がほしいって声は本当によく聞くよねという背景もあって、質問しています。一方で、道路維持課やかつての高齢福祉課、商業振興課等にベンチ設置要望が来そうなところの過去の要望状況を伺っても、あまり来ていないというのが、実は、実際のデータとしてはあるそうなのですが、ただ、「市役所に要望は届いていないのでニーズはない」と終わらせられるのではなくて、議員として普段市民に接している中で聞く声と、実際にこれまで市役所に届いた件数に差があるというところを丁寧にみていくと、もしかしたら潜在ニーズはあるものと思うので、ぜひ市長にまず伺いたいのは、そういった声、市長も耳にされていますか?
 
●上地市長
 私もかなり大勢のかたと接しますが(ベンチ設置要望は)あまり聞いたことはないですね、直接的には。(しかし)私自身が(ベンチが)欲しい、あるべきだと思っているのは事実なので、どうしたらいいかなというのはいろいろ考えていたところです。
 
▽加藤ゆうすけ
方法として、どこまでの範囲で、どこまで細かく聞くかで行政職員の方もご負担が変わると思いますけれど、今回、質問の中では連合町内会等というような、ある程度大きなくくりも示しました。ぜひ、ニーズを聞こう、ということに関しては積極的に意識を持っていただけるよう、部局に言っていただけないでしょうか?
 
●上地市長
 了解です。何らかの形で、意見集約したいなと思っています。
 

ウ 日よけをつくることについて(企画調整課・公園管理課)

(バス停への日よけは難しいとの答弁の場合 食い下がってみる)
▽加藤ゆうすけ
建築物とならないように日よけを作るところが大変難しいのは、私が質問するまでもなく、部局の皆様も市長も感じていらっしゃると思います。例えば、太陽の軌道を考慮して日射対策を工夫するとなると、西日を遮るための壁みたいなものがあればいいな、でも壁になると車道側から歩道が見えなくて危ないので、すのこを縦にしたような縦型のルーバーにしてみるとか、あとは路面温度が上がってしまうというのも、バス停で5分10分待っているだけでもかなりしんどい思いをされると思うので、遮熱性の舗装をしたりですとか、バス停周辺だけでもなんとか温度を下げようという工夫の余地はあると思うので、こういったことを含めて、ぜひ交通事業者と協議される際は、協議いただけませんか?
 
●藤田建設部長
 議員からお話のあった遮熱性の舗装とか、そういったものについては、かなり過去からいろいろな研究が進んでいるところでございます。ただ、なかなか現実的に導入している事例が少ない状況でございますが、我々も幅広にその辺は研究をしたいというところと、確かにおっしゃる通りピンポイントにそれをバス停付近にやるということの効果もあると思いますので、そこも含めて研究していきたいと思います。
 
▽加藤ゆうすけ
そして、日よけの部分で、パーゴラの話を出しました。パーゴラは、2年前に、様々な公園に関する質問をした際に、様々な方からインターネット上のアンケート機能を使ってご意見を募った際に、あれ(パーゴラ)は何であるんだろう?というようなお話を伺って、その頃から気になっておりました。今回改めて、いろいろな方に、このパーゴラをどうしたらいいですかね、といろいろな方にきいたところ、
・つる性の植物を這わせて緑陰をつくることについては、日陰をつくり涼しくなるし緑も増えて気持ちがいい
というご意見をいただきました。一方で、
・藤棚はきれいでいいのだけれど、花のいい香りに誘われて蜂が来てしまうためちょっと怖い
という、お子さんをお持ちの方からご意見をいただきました。どちらも理解できるので、なかなか悩ましいところで、そういったことも含めて、できれば屋根のある東屋タイプがベスト、しかし費用と手続き的に難しいのでルーバーやすだれ、それもだめならつるを這わせて緑陰でも、という背景が、質問の背景にあります。正直な私の思いです。ただ、つる性の植物を這わせたときに、今度はつると雑草が伸び放題になって座れないという状態のパーゴラというのを、実は久里浜中学校の裏で見かけたりしているのですが、このパーゴラを、ある意味での本来の目的の通りに、つるを這わせて緑陰を作っていく形で生かしていくことを検討いただける場合は、どんな植物がいいか・どのような頻度で剪定などの管理も含めて、近隣のご意見も伺いながらぜひ計画的にという部分は、新たな雑草問題を作らないようにという意味でも、進めていただけないでしょうか?
 
●藤田建設部長
 おっしゃる通りだと思います。私ども、パーゴラにつきましてはつたを這わせている実例もございます。先ほど東屋の方がいいという議員のご指摘でございますが、冬場には、逆にお日様が欲しいというご意見も当然あるところもございますので、そのあたりも含めて、管理の面も含めて、進めていきたいと思います。
 

エ 様々な利点のある自動販売機を都市公園に設置することについて(公園管理課)

▽加藤ゆうすけ
経済性を考えた際に事業者が手を出しにくいということは理解できます。そして、その一方で、ニーズ把握がそもそもできないというところもポイントかなと思っています。具体的には、公園の利用人数・前面道路の車両通行台数や通行人数などは、街区公園や近隣公園で一つ一つ調査をするのは難しいともおもっています。
 事業者に積極的にアプローチ・ヒアリングいただけるということなので、ぜひその際にこの辺もというところなのですが、毎日のように自動販売機に飲料を補充し、空き缶を回収する現場のドライバーのかたですと、「あの場所に置けばちゃんと買ってくれるだろう」と肌感覚はあると思うんです。先ほど申し上げた、経済性を判断するうえでまだデータがないという部分も、横須賀市はスマートモビリティに関して熱心に取り組んでいますから、今後、いままで取れなかったデータをとれるかもしれないという可能性も出てきます。
 なので、事業者を通じたヒアリング、やっていただきたいですし、その部分の可能性の中で様々な現場の意見も参考になるかもという部分と、新しいデータが出てきた際に設置の判断をできるようにという部分は、可能性を残しておきつつ進めていただきたいと思いますが、いかがですか?
 
●藤田建設部長
 私どもも、議員がおっしゃったとおり、事業者がかなりノウハウを持っていると思っています。公園に限らず、民間施設にもどういった場所に自動販売機を置けば効果的かというのはおそらくわかっていると思います。公園に設置する場合も、公園利用者だけでなく、道路を歩く方にも買っていただけるケースもあると思いますので、事業者にヒアリングしながら前向きに進めたいと思います。

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