2023年02月14日

【現任期最後の定例議会はじまりました】(2023年2月14日)

現任期最後の定例議会がはじまりました。
本日の主なポイントは以下です:

■1 本会議
議会期間について、2月14日から3月24日までの39日間とされました。
 
永井真人議員の議員辞職について、地方自治法第126条の規定により許否について議題とし、賛成多数によりこれを許可するものと決定しました。
→詳しくはこちら https://onl.la/W6iwNNj

続いて、副議長の選挙を行い、よこすか未来会議の角井基議員が選任されました。
 
 その後、市長施政方針および提出議案の説明を受け、議案(第1~15号:令和4年度関係議案)を所管の常任委員会に付託し、施政方針及び議案(第16~46号:令和5年度関係議案)までの31件に対する質疑は、2月22日からの代表質問・個人質問で行うこととしました。
 
■2 予算決算常任委員会 全体会
 永井真人議員が辞職し、予算決算常任委員会が空席となったため、予算決算常任委員会を開会し、角井基議員を委員長としました。
 

■市長施政方針と次年度予算関連議案等が示されました


 3月定例議会は、市長が施政方針を示すところから始まります。来年度こういう市政を行います、と予算の概要とともに示す場です。詳細は2月22日に始まる代表質問・個人質問以降、審査することとなります。

 上地市政は「音楽・スポーツ・エンターテイメント都市」という実施計画の柱に代表される通り、地域資源を結集させ、新たな魅力を作り出し、人と投資を呼び込んで、地域経済を好循環させ、福祉を充実させる方法を狙って6年間取り組みが続いてきました。

 2月24日のよこすか未来会議 代表質問では、この6年間の取り組みが、福祉の充実へと結実したのか?を大きく問う予定です。

 たとえば、いかにもYOKOSUKAらしい、潮風薫る都市公園でのアーバンスポーツ(スケートボード、BMXなど)の盛り上げは、会派としても求めてきたことであり、外から見た横須賀のイメージを、実際の横須賀の設備とすり合わせていく上でも、良い方向性であったと考えています。一方で、では、こうした取り組みが、「福祉の充実」というところまで、どの程度地域経済の好循環を生み出しているのだろうか?という点は、常に問い直さねばなりません。人口は引き続き減少しており、人口の減少は、個人市民税収入の減少に直結しますし、労働力人口の減少を通じて、域内経済の停滞をもたらします。人口減少・少子高齢化という不可避なテーマが、6年間かけて徐々に存在感をかえって薄くしてはいないだろうか?顧みられていない点は無いだろうか?と問い直さねばなりません。

 とりわけ、私たち会派が強く求めてきた、ジェンダー平等と、若者政策に関するメッセージは、今回の施政方針に見て取れるとはいいがたいものがあります。いうまでもなく、女性と若者がいない街に、活気は戻りません。ごく偏った属性の市民のみで形成されるまちは、今後も続く激動の時代に、非常に脆弱でしょう。

 2月24日は、よこすか未来会議から、小幡議員が代表質問に立ちます。ぜひ、議場およびインターネットで、ご視聴いただければ幸いです。


ーーー書き写し 上地市長施政方針全文ーーーー

■■■令和5年度(2023 年度)市長施政方針■■■
 

■1.はじめに

本日、令和5年度(2023 年度)予算案および関連諸議案を提案いたします。私自身、2期目2年目の予算案であり、また、併せてコロナによる3年の雌伏の時からの飛躍を意識した、これまでにない意欲的かつ積極的な予算案としています。まずは令和5年度の施政方針として、この予算案に込めた思いを少し述べさせていただきます。
 
コロナとの戦いは今、尚、続いておりますが、皆さんご承知の通り、いよいよ今年5月には感染症法上の5類への引き下げが予定されており、ようやく、この未曽有の厄災にも、一定の目途が見えてくるようになりました。これまで長きにわたり、市民の皆さんには本当に多くのご辛抱や我慢をおかけいたしました。そして併せて、医療・保健・福祉に従事されている方々をはじめ、常に市民生活を支えてくださったエッセンシャルワーカーの皆様には、この3年間、大変なご尽力をいただきました。改めて皆様のご理解とご協力に、心からの御礼を申し上げます。また、市議会におかれましても、数々の臨時議会の開催や新型コロナウイルス感染症対策検討協議会を通じ、様々なご対応をいただきました。重ねて御礼を申し上げる次第です。
 
ただこの3年間、横須賀市は、コロナの対応だけに終始していた訳ではなく、皆さんにご理解いただいているとおり市役所職員も一丸となり、この難局に当たりながら、未来に向け、市政を着実に前に進めるとともに、数々の施策の種をまいてまいりました。特に昨年からは、可能な限り社会を動かし、新しい流れを生み出すことを念頭に様々な取り組みを進めており、次々と新たな萌芽が見られるようになってきています。
 
まずは横須賀市、初の試みとして、全国規模のBMXフリースタイルジャパンカップやストリートダンス大会を開催したほか、ウインドサーフィンワールドカップなど、人を呼び込む大規模なイベントを3年ぶりに開催し、これらの大きなイベントを、立て続けに再開できたことは、afterコロナに向けた、本当に力強い第一歩となったと感じています。
 
また、浦賀レンガドックを含めた浦賀駅前周辺地区について様々な方面の事業者から活用案の意見を聞くことができたこと、そして YRPや、一昨年に就航した東京九州フェリーにおいても、我が国の抱える社会課題の解決のため、多くの注目を集めるようになりました。
 
さらに今年は、まず先月には、横浜F・マリノスの練習場がオープンしました。また4月には、ソレイユの丘が、季節を問わずまるごと遊び、楽しみつくせるエンターテイメントパークとして生まれ変わります。
 
このように、今まさに横須賀では、次々と新しい流れが生まれてきており、これら観光とスポーツを軸とした活性化の流れと、海洋都市としての道筋をより発展させ、確固たるものとしたいと考えています。そしてこれらが、横須賀の明るく新しい魅力を作り上げ、交流人口を増やし、市内経済に刺激を与えることによって、横須賀の内外に向けての、新しいアイデンティティの確立につながっていくよう、努力したいと思っています。これは常々申し上げていることですが、行政の最大の目的は住民福祉の増進であり、全ての施策はそのためにあるべきとの思いで、日々市長の任に当たっています。
 
人生 100 年時代を見据え、子どもから高齢者まで、すべての市民が安心して健やかに、そして穏やかに暮らすことのできる横須賀を今後も目指してまいります。縷々申し上げてきた新しい流れが果実を生み、その果実が物心両面で福祉の充実に貢献し、人を豊かにする、幸せにするという、福祉の本来の意味を、市民の皆さんに感じていただけるようにしたいと思っています。そして最終的には、すべての果実が、誰もがお互いを慈しみあう「誰も一人にさせないまち」への推進力として、さらなる昇華ができるよう、全身全霊で取り組んでいく決意です。そこで令和5年度の予算は、「横須賀再興プラン」第二ステージとして、取り組みの成果を表面化させる、顕在化させることを第一の目標に置き、編成しています。
 
以上、令和5年度当初予算における私の思いを、まずはご説明させていただきました。
 
続けて、この予算における主な事業を、「横須賀再興プラン」の最重点施策である柱に沿い、新規拡充事業を中心にお話させていただきます。
 
 

■2.柱1:地域で支え合う福祉のまちの再興

 
第1の柱は「地域で支え合う福祉のまちの再興」です。
 
先ほども述べたとおり、行政の最大の目的は住民福祉の増進であり、どれだけ人を豊かにし、幸せにするかということです。コロナ禍により、人と人のつながりの希薄化やこれまで地域で担ってきた機能の低下、貧困の深刻化による新たな格差など、社会環境は大きく変化しています。こうした中で、疎外感や孤独感を抱き、不安に思う人も、相当数、増えたのではないかと思います。制度のはざまで支援の手が届かず、日々苦しんでいる人、制度があることを知らず、どこに助けを求めたらよいか分からないまま生活が行き詰まってしまう人、こうした方々の悩みや困りごとについて、一緒になって悩み、しっかりと解決につなげていく、ぬくもりのある「ひと」だからこそできる支援に力を注いでまいります。
 
 

●地域生活相談窓口

そこで、令和5年度は相談体制のさらなる充実を図ってまいります。地域で様々な悩みごとや困りごとを抱える方がいつでも相談できるよう、すでに6つの行政センターに設置している地域生活相談窓口を新たに追浜、逸見、大津行政センターに開設します。これにより、全行政センターに相談体制が構築され、いつでも、どこでも、様々な悩みごと、困りごとをしっかりと受け止めてまいります。
 
 

●重層的支援体制

福祉の相談窓口として「ほっとかん」を開設し、休日に相談を受けるなど体制を充実させてまいりましたが、昨今では、さらに、社会的孤立、育児と介護のダブルケア、8050 問題など、人々が抱える悩みや困りごとが複雑化、多様化し、既存の制度や体制では十分に対応できない事案が増えています。こうした制度のはざまへの対応をさらに進めるため、包括的な相談支援などを行う重層的支援体制の検討を進めます。これに加え、障害のある人やそのご家族が障害の種別に関係なく身近な地域で相談が行えるよう障害者基幹相談支援センターと障害者相談サポートセンターの体制を強化します。
 
 

●人権

次に人権の取り組みも進めてまいります。
私は、あらゆる差別や人権の問題を解消したいと考え、政治家を志しました。横須賀で暮らす全ての人々がお互いを認め合い、慈しみ合い、助け合うことのできる「誰も一人にさせないまち」の根底には、当然のことながら、人権の理念が流れており、ダイバーシティを推進する強い思いが込められています。今後も、市長として先頭に立ち、取り組みを進めてまいります。
 
そして、人権を脅かす「いじめ」についても、絶対に根絶したいという、強い思いがあります。いじめをなくす意思表示を行うピンクシャツデー運動は、昨年7月の「横須賀市子どもの権利を守る条例」の施行に合わせ開始し、これまで継続的に活動を行ってまいりました。今では市役所だけではなく、市内の学校や企業、団体等に活動の趣旨が浸透してきていると感じています。来年度は、さらに活動の輪が広がるよう取り組みを進めるとともに、世界的に広がるピンクシャツデーがある2月には関係団体と共催でピンクシャツデーイベントを行い、市民の方へ意識啓発も行っていきます。活動の広がりにより、いじめ根絶だけでなく、差別や偏見をなくし、人権尊重の意識を高めていきます。
 
 

●健康づくり

次に、人生 100 年時代に向けた健康づくりです。
住み慣れた地域でいつまでも健康で過ごすためには、充実した医療の提供に加え、一人ひとりの健康寿命を延ばす取り組みが重要です。コロナ禍での行動自粛の広がりで、特に高齢者の方の受診控えによって持病の悪化や認知症の発症、心身の衰えなど、残念ながら増加していると伺っています。健康不安を取り除くとともに、ふれあいの機会の創出など、再び人と人とのつながりを取り戻すことが何よりも大切だと思っています。昨年から地区担当保健師による、赤ちゃんから高齢者まで全世代へのアウトリーチ型、積極的なプッシュ型の保健活動を開始しています。来年度は、特に高齢者の通いの場を活用した医療専門職による相談や、重症化リスクの可能性がある方への保健師による働きかけなどについて地域を拡大して行ってまいります。
 
そして、これらの活動を、より多くの市民へ的確に届けるために、ヘルスケアデータの分析による健康管理を進めてまいります。現状では、必要なデータがバラバラに存在しているため、その把握に時間がかかるという課題があり、また、その分析のノウハウも十分とは言えない状況です。これらの課題を NTT東日本、九州大学、県立保健福祉大学、皆様の技術と知見をお借りして解決を図ってまいります。
 
また、高齢者が生き生きと健康的な生活を送るための「生きがいづくり」も進めてまいります。老人クラブ連合会が開催するイベントをよりニーズに合ったものにして、高齢者の皆さんが幅広く参加できるようにしてまいります。また、市内在住の 65 歳以上のひとり暮らし高齢者の方を対象とした入浴施設の利用料の助成については、来年度から、ソレイユの丘の入浴施設を追加し、ふれあいの機会を創出してまいります。
 
さらにがん対策にも力をいれてまいります。中学校2年生を対象とした胃がんリスク健診の受診率向上を図るとともに、新たに20歳、30歳を対象とした検診を実施し、リスクの早期発見、ピロリ菌の除去につなげ、胃がんの撲滅を目指してまいります。
 
なお、市立総合医療センターは、市民の方々が安心して暮らすことのできる医療環境の整備、高度な医療サービスの提供、地域医療全体の質の向上を図るため、令和7年3月1日の開院を目指し、引き続き建設を進めていきます。
 
 

●コミュニティの活性化

次に、新しいつながりによるコミュニティの活性化です。
小学校が地域コミュニティの拠点となる「スクールコミュニティ」の実施校を3校から5校へ増やし、子どもから高齢者まで様々な世代の交流を促進し、地域の結びつきの強化を図ってまいります。
 
 

●安全・安心のまちづくり

次に、安全・安心のまちづくりです。
近年激甚化・頻発化する風水害などに対し、ICTを活用するなど、安全・安心のまちづくりを進めてまいります。
まず、火災や救急の通報を受けた際、現場の映像をリアルタイムで共有できる新たな通報システム「Live119」を導入いたします。 1分1秒を争う現場をより正確に把握することで、円滑な消防活動を展開してまいります。
また、起震車と連動したVRゴーグルによる地震体験やARゴーグルによる煙体験など、最新技術を地域の防災訓練等で活用することで、防災意識の向上を図ってまいります。
 
そして、災害時ボランティアセンターの体制も強化してまいります。発災時には、大勢のボランティアの方々にご協力をいただきますが、被災者とのマッチングが課題となると聞いています。そこで、横須賀市社会福祉協議会が運営する災害時ボランティアセンターへ運営支援システムを導入する経費を助成することで、ボランティアと被災者のニーズをいち早くマッチングし、災害対策本部とも調整しながら、ボランティアの方々がスムーズに活動を行えるよう支援してまいります。
 
また、下水道の浸水対策も進めていきます。大雨時に道路の冠水などの被害が発生している逸見地区や本町地区などの雨水排水施設の整備を行います。
 
不幸にして犯罪の被害に遭われた方々への支援にも取り組みます。一日も早く日常生活を取り戻していただけるよう、法律相談やカウ ンセリングに対する支援、見舞金の支給などを行います。
 
また、認知症は今や誰もが関わる可能性のある身近な病気です。昨今、こうした認知症高齢者が人目につかない場所に迷い込み、捜索が長期化するケースが出てきています。時間の経過とともに命の危険が高まるため、早期発見・保護が何より重要です。そこで、新たにGPS機器導入費の助成を行うことで、ご家族の不安を軽減し、誰もが住み慣れた地域で暮らし続けることができるよう支援してまいります。
 
 

■3.柱2:子育て・教育環境の再興

 
第2の柱は「子育て・教育環境の再興」です。
 
子どもを産み育て、子どもたちとずっと一緒に暮らすことは、本当に幸せだと感じます。一方で、仕事と育児の両立や経済的負担などから、本当に楽しい、幸せだというところに行きつけない方が存在することも確かです。こうした子育てに対する不安を少しでも取り除き、今ある日常、平穏な日常に幸せを感じられるよう様々な取り組みを実施してまいります。
 

●小児医療費助成

そこで、まず、お子さんが必要な時に適切な医療を受けられるよう小児医療費助成の対象年齢を 18 歳まで拡充いたします。今何よりも最優先で取り組むべき課題は、少子化対策・子育て支援の拡充だと私は考えています。横須賀市においては、昨年4月から2人以上のお子さんのいる世帯の負担を軽減するため、国の制度では支援が不十分と考えられる部分について、独自に保育料の軽減を行いました。しかしながら、市独自の取り組みには財源的に限界がありますし、こうしたことで、地方が競争することは決して好ましくないと考えています。昨年、東京都が 18 歳までの医療費を無償化することを表明しましたが、これでは、今後、財政力のある地域と、そうではない地域とで、ますます格差が生じることは明白であり、深い憂慮を覚えます。小児医療費助成は、全国どこの市町村に居住していても公平に受 けることができるようにすべきもので、本来、ナショナルミニマムを基本とした国の制度として実施されるべきであると、これまでも国に強く要望してきました。その考えに変わりはありません。ただ、コロナ禍の影響が長引く中、物価高騰が子育て世帯に影響を及ぼしている現状に対し、悩み苦しみ、市独自に何ができるか、何が必要なのか、そうした思いが頭から離れることはありませんでした。そして、何よりも、今目の前で苦しんでいる子育て世帯に財源を振り向けていくことが重要ではないかと考え、昨年末に両副市長に拡充について指示したところです。
 
これから子どもを産み育てたいと考えている方にも安心感を持っていただけるよう取り組みを進めてまいります。
 
 

●保育施設の整備

次に、保育施設の整備についてです。
待機児童ゼロを目指し、保育施設の整備を進めてまいります。園舎建替工事費の一部を助成し認定こども園への移行を推進することで、保育所定員の拡充を図ってまいります。
 
また、保育人材の研修などの取り組みを進め、保育ニーズへの対応を充実させてまいります。
 
保育所等の安全対策にも取り組んでまいります。子どもの安心・安全のため、保育所等への機器導入経費を助成します 。
 
また、私立幼稚園の環境整備も進めてまいります。大規模修繕だけでなく軽微な修繕も対象とすることで、より使い勝手のよい補助制度に見直しを行ってまいります。
 
 

●放課後の居場所づくり

次に、放課後の居場所づくりについてです。全ての児童を対象とした「放課後子ども教室」は、地域住民の参画のもと安全・安心な放課後の居場所として、令和5年度に小学校 17 校に整備を行い、令和7年度までに小学校全 46 校に整備してまいります。
 
 

●地域の子育て・社会的養育支援

次に、地域の子育て・社会的養育支援です。
核家族化が進む中で、誰にも相談できず子育ての悩みや不安を抱える親と、健全な成長のために大人や地域とのつながりが必要な子どもに対する支援を強化してまいります。
多胎児家庭に対する子育て支援ヘルパーによる家事・育児援助を手厚くすることで、育児負担の軽減を目指します。
 
また、医療的ケア児と家族が地域で安心して暮らせるよう、様々な相談に対して、医療、福祉、教育等の関係機関へつなぐコーディネーターを新たに配置し、家族を支援してまいります。
 
 

●学力向上

次に、学力向上です。
すでに進めているGIGAスクールの推進では、デジタル教科書等に対応するためのネットワーク環境を増強し、1人1台端末をさらに活用することで、児童生徒一人ひとりの理解力や個性に応じた学びを実現してまいります。
また、教員をサポートするICT支援員を配置し、ICTを活用した、わかりやすい授業を実施してまいります。
 
 
●学習環境の充実
次に、学習環境の充実です。
日本語指導が必要な子どもたちがスムーズに学校になじむことができるよう、初期集中指導を実施する日本語支援ステーションを新たに開設いたします。
 
また、今年度から中学生の読書活動を活発化させるため、全中学校に学校司書を配置しました。調べ学習など学びをサポートするための情報収集の場として今後も活用してまいります。
 
そして、また、学校・家庭・地域の連携による教育力の向上も進めてまいります。今年度、学校運営協議会を全市立学校に設置しました。保護者や地域の方々に学校運営に参画いただき、地域と連携した学校づくりに取り組んでまいります。
 
 
●社会教育施設等の整備・活用
次に、社会教育施設等の整備・活用です。
 
美術館への集客に、さらに力を入れてまいります。多くの方がアートに触れ、美術館に親しんでいただく機会を増やすため、箱根エリアの美術館と連携した展覧会や恋人の聖地を活用した他都市との連携など新たなチャレンジを行います。
 
また、コロナ禍において、テレワークやオンライン会議が普及し、 Wi-Fi環境のニーズが高まったことを踏まえ、全コミュニティセンターでポケットWi-Fiの無料貸し出しを行います。
 
図書館サービスの充実も行います。令和5年4月から、市立図書館でICタグを活用した自動貸出システムが稼働いたします。利用者の待ち時間の短縮など利便性の向上や図書館運営の効率化を図ってまいります。
 
また、令和9年度オープン予定の追浜駅前図書館につきましては、民間事業者のアイデアを取り入れ、新しい公共空間の創造を目指して検討を進めます。
 
 
 

■4.柱3:経済・産業の再興

 
第3の柱は「経済・産業の再興」です。
 
新型コロナウイルス感染症や物価高騰の影響を受けた地域経済の活性化は何より大きな課題です。これまでも横須賀商工会議所をはじめとする関係団体と連携し、地元の元気応援券など消費を下支えする施策とエネルギー高騰に対応するための省エネ設備導入支援などafterコロナを意識した施策とを組み合わせて取り組んでまいりました。引き続き、臨機応変にスピード感をもって対応してまいります。
 

●港湾施設の整備

人口減少下では、定住者の増加は簡単ではなく、特に半島という特性を持った横須賀は、常に情報を発信して注目を集め、陸路海路を問わず、人材や物資を絶え間なく流通させる必要があります。
横須賀港は、他港に比べて、時間的な優位性など大きなポテンシャルがあります。ただ、ふ頭の狭さや水深が浅いなど、現在、また将来的な物流ニーズに合致していないという課題を抱えています。新たなふ頭整備計画は、これらの課題解消を図り、将来の地域経済の発展に必要なものと考えています。横浜環状南線、国道 357 号の整備など、今後、交通ネットワークが飛躍的に向上し、横須賀港を活用した船舶へのモーダルシフトの可能性も高まっています。ドライバー不足など、大きな変革が求められる物流業界にとって、横須賀はますます重要な結節点になると考えております。昨年 9 月に埋立事業については、土量の問題により最短スケジュールで進めることができないことを報告しましたが、条件が整い次第、いつでもとりかかれるよう取り組みを進めてまいります。令和5年度においては、港湾施設の整備を着実に進めるため、「港湾担当部」を「建設部」から独立させ、「港湾部」を新設するとともに、サウンディングなど整備に向けた調査および新港地区での埋立てによる岸壁などの整備内容の検討を行ってまいります。
 
 

●企業の新たな立地・持続的発展への支援

次に、企業の新たな立地・持続的発展への支援です。税収増や雇用の拡大、市内企業間での取引の増加など、地域活性化につながる企業の誘致は、当然のことながら重要な取り組みの一つです。私が市長に就任してからこの5年間で、様々な企業を誘致してまいりました。今後の誘致に向けては、先ほど申し上げたとおり、物流需要の将来的な増加や船舶へのモーダルシフトが見込まれる中で、複数の物流関係事業者から、交通結節点である横須賀インターチェンジ周辺地区に興味を示していただいています。このことから、本年1月に、土地の造成を促進するため、新たな税の優遇制度を創設したところです。また、昨今の国際情勢の不安定さはあるものの、生産活動の再開や内外需の回復も見込まれることから、以前にも増して、産業用地に関する問い合わせが増えている状況にあります。さらにこうした中、計らずも、Y-HEART地区において誘致を進めていたナショナルトレーニングセンター拡充施設について、オリンピック終了後の国の動向などを踏まえ、実行委員会による誘致活動収束の決定がなされました。今後は、約 89haを有するこの広大な土地に、新たな企業誘致を進めるため、事業者へのヒアリングや税の優遇制度についても適用の検討を進め、横須賀経済の発展に向け、取り組んでいきたいと思います。
 
 

●農水産業の振興

次に、魅力あふれる農水産業の振興です。
 
これまで、「よこすか野菜」の認知度を向上させる取り組みや地産地消を推進するため、SNSによる情報発信や、「すかなごっそ」や「ポートマーケット」での販売支援など、様々な取り組みを展開し、その効果は着実に表れていると感じています。今後は、さらに、認知度を向上させ、横須賀への観光客の誘致にもつなげられるような取り組みが必要です。まずは、これまでのSNSやホームページに加え、テレビ番組等で横須賀の「食と観光」をこれまで以上に取り上げてもらえるよう、部局間での連携を強化し積極的に取り組みを行ってまいります。また、市外への消費拡大に向け、JAが行う通信販売の支援や生産者の直売ルートの開拓の支援を行います。
 
近年、磯焼け問題が深刻化しており、漁獲量は 10 年前に比べて、半減しています。この問題は、地球温暖化に起因するものともいわれ、簡単に解決するようなものではありません。しかしながら、このような状況下でも、漁獲量が伸びている魚種があり、代表例が「とらふぐ」です。すでにブランドとしての認知度が高まっており、今後の展開にも期待しています。また、新たな養殖品種の研究など、漁協の皆さんと一緒になって、環境の変化に対応できる、安定した漁業を目指したいと考えています。磯焼け対策は、市内に立地する研究機関等との連携により、被害範囲の調査、対策の検討、実証実験などを進めてまいります。
 
 

●都市基盤の整備

次に、都市基盤の整備です。
まずは、市街地再開発事業についてです。
これまで、市が積極的に支援し、投資してきたことが実を結び、昨年 11 月には、若松町1丁目地区再開発組合が設立されました。令和5年度中には、地区内の建物の解体が始まるなど、いよいよ事業が本格的に進んでいきます。市としても事業が遅滞なく進めていけるよう積極的な財政支援を行いながら、この事業の成功に向けて可能な限りの調整を図っていきたいと考えています。
 
そしてさらに、追浜駅前の再開発事業もこれに続きます。京急久里浜駅周辺も含めてそのほか複数の再開発も検討を前に進めています。これまで市内各地で幾重にも人を呼び込むために行ってきた政策により、横須賀に新たな風が吹いてきています。この流れに乗り、より高く飛躍するためには、これら再開発事業の成功が欠かせません。そのために、先の経験なども踏まえて、まちにとって最大限の効果が発揮されるよう、これら事業の後押しと周辺のまちづくりにも注力していきます。
 
そのひとつの取り組みとして、追浜駅前では、国・京急電鉄・横須賀市の3者による実行委員会をもって、早期のバスタ着工を目指すとともに、それを含めた駅周辺のまちづくりの検討を担う、「えき・まち・みちデザインセンター」を新たに設置します。
 
また、国道 357 号開通後、追浜夏島線の交通量増加が予想されることから、円滑な交通の流れや安全確保に向けた道路設計や再開発事業と連携した歩行者デッキの設計などを進めます。これらの動きによる一体的なまちづくりを、追浜駅周辺グランドデザインの実現につなげていくために、令和5年度には、デザインセンターの運営も含めて、これらを担当する拠点整備推進担当課を新設します。跡地の利活用についても進めてまいります。
 
浦賀行政センターについては、来館者の安全性、利便性の向上を図るため、歩道の拡幅や駐車場の整備を計画しています。来年度は、浦賀警察署跡地の購入と解体工事などを進めていきます。
 
令和7年3月に移転する、うわまち病院については、跡地の測量を行い、医療・看護系大学等への転用に向けた検討や、サウンディング調査結果を踏まえた利活用の検討を進めます。
 
このほか、民官連携も進めてまいります。来年度には、今申し上げた、うわまち病院跡地や大矢部弾庫跡地の利活用や三笠公園リニューアル、浦賀レンガドックを含む浦賀地区の利活用などに民間事業者のノウハウやアイデアを最大限活用させていただくとともに、 BMXフリースタイルジャパンカップの継続開催などに企業版ふるさと納税を活用させていただきます。また、新たな試みとして、ふるさと納税寄附額の拡大に向けて、専門家を登用します。専門家のノウハウ、マインドを職員に注入し、企業へのアプローチ、新たな返礼品の開拓を重点的に行いラインナップの拡充などにより、寄附額の拡大を目指してまいります。
 
 

■5.柱4:歴史や文化、スポーツを生かしたにぎわいの再興

 
第4の柱は「歴史や文化、スポーツを生かしたにぎわいの再興」です。
昨年、鎌倉殿の 13 人で激動の鎌倉時代を生きた三浦一族が脚光を浴びました。横須賀は神話の時代からその名を残し、三浦一族の活躍をはじめ、近代文明の幕開けとなったペリーの浦賀来航や横須賀市発展の礎となった横須賀製鉄所の開設など、様々な歴史を持っています。今回こうした歴史に育まれた文化が、現在の横須賀に生きる私たちに深く根付いていることにあらためて気づかされました。長い歴史の中で育まれ、守られ、引き継がれてきた文化は、心に豊かさや潤いを与え、心を落ち着かせ、ふと自分をみつめなおすような力があると思っています。また、スポーツやエンターテイメントのワクワクとは違う、まちのにぎわいや活力をもたらす力があるとも思っています。
 
これまで、私たちは前の世代からの文化を継承し、その基盤に立って新たな創造を行い、豊かさを増してきました。次なる時代の新たな創造の基盤となる知恵の結晶と言える文化を、将来に向けて継承していくとともに、それらが市民の皆さんの誇りとなるよう取り組みを進めてまいります。
 
経済の活性化や人口減少の対策の大前提になるのが、まちの活力です。集客がまちの活力を生み、その活力がさらに集客につながる。こうした好循環を確立させることが重要です。繰り返しになりますが、ここで得た経済の果実を市民の幸福のために還元させていくことを第一義に考えています。
まちの活力を底上げしていくために、横須賀にある、自然、歴史、文化、食など多彩な魅力を持つ地域資源を最大限活用することは当然のこととし、民間企業のノウハウも活用させていただき、ルートミュージアムをさらに充実させることで、多くの方に横須賀を周遊していただき、観光消費額の増加につなげてまいります。
 
 

●浦賀について

そこで、まず、浦賀についてです。
 
私は、開国の地であり誰もがその名を耳にしたことがある浦賀は、これからの横須賀発展の中心となる場所だと思っています。
浦賀レンガドックを含めた浦賀駅前周辺地区全体の利活用について、開国のまちにふさわしい横須賀の将来を見据えたまちづくりを進めるよう、引き続き、様々な事業者から意見を聞き、土地所有者である住友重機械工業との協議を進めてまいります。令和5年度は、関係者と具体的な調整・協議を進め、事業者選定の公募などを含め、さらに一歩進めた形で、事業を進捗させていきたいと考えていますので、ぜひ期待してください。
 
 

●ティボディエ邸について

次に、ルートミュージアムの中核拠点となるティボディエ邸についてです。オープン以来、たくさんの方に訪れていただいており、今年1月には隣接地にレストランもオープンしました。今後も多くのお客様に訪れていただけるよう、シアターでの新たなムービーの公開やオールシーズンでのイベント実施など、新たな仕掛けづくりにも力を入れてまいります。
そして、多くの民間事業者や地域の関係者の皆様が主体となって本市と共同で実施した「MEGURUプロジェクト」は、多くの方に来ていただき、浦賀地域の魅力を十分感じていただけたものと思います。来年度もこうした浦賀レンガドックを中心としたイベントを開催するなど、ルートミュージアムのさらなる周遊を促してまいります。
 
 

●観光消費額の増大にむけて

次に、周遊と消費の促進として、滞在時間の延長につながる夜間・早朝も活用した賑わい創出に対する助成や、横須賀の食文化を活かした飲食イベントの実施など、市内での観光消費額の増大を図ります。
 
観光情報の発信にも力を入れていきます。海外向け観光情報サイトの多言語化など受入環境の整備も進め、米海軍横須賀基地居住者を含めたインバウンド需要を獲得し、市内の消費を喚起してまいります。
 
また、車イス利用者やベビーカーを利用している方などにも市内周遊を楽しんでいただくため、一人ひとりのニーズに合った最適なルート案内が可能なバリアフリー情報を発信していきます。
 
 

●地域と一体となったにぎわいづくり

次に、地域と一体となったにぎわいづくりでは、商店街が行うプロスポーツチームとの連携や、歴史や文化等を活かした取り組みに対する助成を拡充し、まちなかの活性化の支援をします。
 
そして、音楽やダンス、エンターテイメントによる賑わいの創出として、これまでの街なかをステージとした音楽ライブのほか、横須賀ならではの大規模な音楽イベントを開催します。
また、今年度から開催している全国規模のストリートダンス大会や高校生ダンス大会に加え、市内ジュニア世代のステップアップにつながる新たなダンス大会を開催します。
 
 

●メタバースの活用

次にメタバースの活用です。国のデジタル田園都市国家構想交付金を活用し新たな情報発信ツールとして他の自治体に先駆けてメタバースに参入します。横須賀ならではの仮想空間を構築し、観光地としての認知度の向上や魅力発信、ICT教育支援などにつながる取り組みを進めることで、観光客等の増加を目指します。
 
 

●にぎわい・交流スペースの創出

次に、にぎわい・交流スペースの創出です。
 
東海岸側の主要な観光拠点をつなぐ「よこすか海岸通り」は、現在、アートによってワクワクする空間に生まれ変わりつつあります。今後は、アートやイベントだけでなく、国の「ほこみち制度」を活用し、飲食店などが歩道上に出店しやすい環境をつくるとともに、交流スペースなどの整備を進め、この通りが、今まで以上に人々が憩い、交流し、にぎわう道となるよう、さらに取り組みを進めてまいります。
 
 

●スポーツによるにぎわいの創出

次に、スポーツによるにぎわいの創出です。
 
久里浜地区においては、「F・Marinos Sports Park」が 5 月にグランドオープンします。練習場周辺にある市の施設の壁面や京急線車両などにチームカラーであるトリコロールを施すなど、ホームタウンとしての機運をさらに高めてまいります。
 
また、昨年初開催したBMXフリースタイルジャパンカップを継続開催するとともに、さらなる普及・振興を図るため、BMXの学校訪問や体験会、デモンストレーションを行います。
 
さらに、ウインドサーフィンワールドカップ 2023 年大会を開催するとともにマリンスポーツの普及のためNTT東日本と日本ウインドサーフィン協会と連携し、食と観光を活用したワーケーションの取り組みを行ってまいります。
 
eスポーツに関する教育支援にも力を入れていきます。高校生を対象にプロの指導者による競技指導を行うなど、世界に通用するトッププレイヤーの育成を目指すとともに、市内外の幅広い世代に向けて市の先進的な取り組みをPRします。
 
 

■6.柱5:未来につなぐ環境の保全・創出

 
第5の柱は「未来につなぐ環境の保全・創出」です。
 
横須賀は、三方に海を望み、振り返れば緑に囲まれ、豊かで誇るべき環境を育んできました。これら素晴らしい自然環境を、世代を超え、後世に確実につないでいくことは、今を生きる私たちに課された大切な使命です。地球温暖化は、猛暑や短時間豪雨など、本市においてもその影響が生じてきています。「横須賀市ゼロカーボンシティ宣言」でもお示ししたとおり、脱炭素社会への移行に向けた取り組みを加速させてまいります。特に、脱炭素の取り組みでは、クリーンエネルギーの活用がCO 2削減に寄与する効果が大きく、すでにエコミルで発電された電力を本庁舎等で活用していますが、他の施設についても、導入を検討してまいります。
 
また、太陽光パネルの設置についても、これまで以上に積極的に進めます。市内 17 か所に新たに設置するとともに、令和6年度以降の設置を見据え、準備を進めてまいります。
 
また、老朽化した空調や照明設備等を、省エネ効果の高い機器に更新することや、公用車EV化のさらなる推進など、CO2削減に引き続き取り組みます。
 
そして、環境を守っていくためには、一人ひとりが、自分事として意識し、行動して頂くことが重要です。市民、民間事業者の皆様には、さらなる連携・協力をお願いしたいと考えています。そのために、新たに中小企業向けセミナーを開催するとともに、市民、事業者の方向けに、太陽光パネル設置やEV購入に対する助成などを、継続して実施いたします。
 
また、CO2削減に向け、公共施設だけでなく、市民・事業者の取り組みにも活用できる、新たな国の補助金の獲得も、積極的に進めてまいります。
 
 

●自然環境の保全・活用と循環型社会の推進

次に、自然環境の保全・活用と循環型社会の推進です。令和4年4月に施行された「プラスチック資源循環促進法」に基づき、燃せるごみに含まれる製品プラスチックの資源化・再商品化を推進し、 CO2排出量を削減していきます。
 
 

■7.そのほかの重点的な取り組み

 
このほか、令和5年度予算の特徴的な内容についてご説明します。
 

●行政のDX

行政のDXでは、昨年、内閣府から、「書かない窓口」の取り組みなど、先進的な事例として表彰を受けました。また、保健所でのコロナ対応などでは、RPAを実装し、これまで多くの職員の負担となっていた手間と作業時間を、大幅に省くことができるようになっています。さらに、市民の生命、安心、幸福に直結する健康分野を皮切りに、デジタル技術を活用し、市民一人ひとりの暮らしの質の向上を図るスマートシティの実現に向けた取り組みも積極的に推進していきます。その第一歩として、先ほど述べましたが、産学官連携により、市民のヘルスケアデータを分析し、より効率的・効果的な健康支援事業を進めていきます。
 
このように、横須賀市役所の、デジタル・ガバメントに対する姿勢は、質、量ともに、国内で有数のものと思っています。来年度には、「デジタル・ガバメント推進担当部」を新たに設置し、より迅速な意思決定を行い、庁内のデジタル・ガバメントの推進を強力かつ戦略的に行っていきます。
 
しかしながら、以前から申し上げていますが、DXは、決して目的ではなく、手段です。行政の最大の目的は、人を豊かにする、幸せにするという、本来の意味での福祉の充実であり、私たちの仕事は、「人にしかできない仕事をする」ことであると思っています。このことに、より多くの職員の知恵と労力を注ぐために、DXをその手段として推進しているのです。
 
 

●人事・給与制度改革

人を救うことができるのは人だけです。あらゆる分野において、助けが必要な人に寄り添い、ともに歩み、ともに考え、ともに解決していくことができるのは、やはり、人だけだと思います。
 
横須賀市役所は、市民の幸せの向上を目的として存在しています。行政の限られた人的資源と財源の中で、機械ができることは、どんどん機械に任せ、人にしかできない仕事に、精一杯、励んでもらいたいと思います。そのためにはまず、職員自身が、この横須賀市役所で働くということに、誇りとやりがいを持つことが、不可欠だと思っています。職員の意欲と能力を高め、さらに住民福祉の向上を図るため、人事・給与制度改革を進めていきます。職員人件費の総額は増やさず、給与や処遇にメリハリのある仕組みを構築します。
 
私は、市役所 3,000 人の職員の意識が変われば、横須賀に圧倒的な変化が起きると確信しています。これまでも職員には、人にしかできない仕事を、真心のある仕事をするよう伝えています。より前向きに市民のために働く職員、市役所となってもらえるようこの制度改革を強く進めていきたいと思います。
 
 

■8.基地について

次に基地についてです。
陸海空の自衛隊、防衛大学校、そして米海軍基地が所在する横須賀が、日本のみならず地域の平和と安定にとって、いかに重要なまちであるか、私はこれまでも繰り返し述べてまいりました。
 
昨年のロシアによるウクライナ侵攻や中国の海洋進出、北朝鮮のミサイル発射などにより、現在、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面しているといわれています。こうした中、我が国の安全保障が大きな変革期を迎えていることを実感しているところです。
 
昨年12月、いわゆる安全保障関連3文書が改訂され、防衛力整備計画では、陸上自衛隊通信学校をシステム通信・サイバー学校へ改編し、サイバー要員を育成する教育基盤を拡充すること、防衛大学校ではサイバー領域を含む教育・研究の内容と体制が強化されることが明記されました。横須賀が、まさしくサイバー人材の育成拠点という安全保障の新たな役割を担うことになるものと確信しています。
 
地域の平和と安定、そして日本の安全保障環境に貢献することは、横須賀市長の責務と考えます。国の動向はしっかりと注視しつつも、その責務を果たすべく、邁進する所存です。
 
そのためには、今後も引き続き、横須賀市に所在する防衛施設が、市民の理解を得ながら、安全かつ安定的に運用されることが重要であると、強く認識しています。
 
一方で、米海軍基地や自衛隊施設が中心市街地や港湾の要所を占め、まちづくりに少なからず影響があることも事実です。市民生活の安全・安心の確保は当然として、国に対しては、横須賀の重要性を再認識していただいたうえで、財政措置や地域振興策も含め、今後もしっかりと求めてまいります。
 
昨年、米海軍横須賀基地の排水処理施設から、水環境中の暫定目標値を超えるPFOS等を含む排水が、横須賀港に流出するという事案が発生しました。私は、国と米側に対して抗議するとともに、早期の原因究明と事態の改善を強く求めました。そして、市民の不安を払拭したい、安全・安心を確保したいという一心から、周辺海域において市の独自調査を継続的に実施するとともに、環境補足協定に基づく同施設への立入りを行いました。立入りの結果は、未だ公表に至っておりませんが、米側が、改善策として設置した粒状活性炭フィルターを通過した排水に対し、独自にサンプリングを行ったところ、暫定目標値以下の数値であったと、米側から報告を受けているところです。健康と環境への影響は、横須賀市民にとっても、米軍関係者にとっても非常に重要な問題ですので、皆さんの安全・安心を確保するため、引き続き、国と米側に対して早期の原因究明と再発防止の徹底を求めてまいります。
 
 

■9.令和5年度予算編成について

以上、令和5年度予算案の特徴的な事業、横須賀への思いなどを述べてまいりました。
 
これらの事業や施策を着実に進めるための編成を行った結果、令和5年度の一般会計、特別会計、企業会計を合わせた予算総額は、 3,278億円で、うち一般会計予算の総額は、1,611億円となりました。
 
なお、一般会計の財源不足を補填する財政調整基金からの取り崩しは、46億9千万円となりました。
 
また、冒頭で申し上げましたとおり、今年5月には感染症法上の 5類への引き下げが予定されています。医療提供体制、医療費などの公費負担については、現時点で具体的な方針が国から提示されていないため、当初予算においては、今年度と同様の体制が維持できる予算を計上しています。今後、国の動向を注視し、必要に応じて補正予算を計上するなど適切に対応していきたいと考えています。
 
 

■10.令和4年度補正予算案の概要

令和4年度の補正予算は、市税等の落ち込みが当初予想したほどではなかったことによる増額、地方交付税の追加交付などによる増額を行うほか、国の補正予算と連動して、事業を前倒して計上しています。このほか、年度末における整理などを行います。
 
 

■11.結び

以上、令和5年度予算案を中心に、施政方針をお伝えいたしました。冒頭で申し上げたとおり、コロナ禍による3年の雌伏の時を経て、ようやく元の日常の、しっかりと未来の横須賀市の在り方を見据えた予算案を提出することができたと思っています。
 
思い返せば3年前の1月に、我が国に初めてのコロナの感染が確認され、その2か月後には、横須賀市でも最初の感染が確認されました。すぐさま医師会や病院会と強固に連携し、県内でどこよりも早くPCRセンターを設置するとともに、検査、診療、入院の一連の流れを、横須賀モデルとして確立することができました。ワクチン接種においても、地域の各医療機関での接種に加え、交通手段に鑑み2か所の大規模接種会場を設置するなど、一刻も早く、一人でも多く接種していただけるよう、準備と体制を整えてきました。
 
市民の皆さんにも、感染拡大防止のため不要不急の外出を控えていただくなど様々な制約にご協力をいただくとともに、市内施設の使用中止など市民活動の制限にも、ご理解とご協力をお願いしてまいりました。
 
 
これらの多くの方々のご理解とご協力、ご尽力により、ようやく 5月には、5類引き下げとなり、このコロナとの戦いも、新たな転換期を迎えようとしています。しかし私たちは、この3年間に本当に多くのものを失い、犠牲にしてきました。特に感染拡大当初など緊急事態宣言下では、とにかく人と接する機会を、可能な限り少なくしてもらうために、町内会・自治会や老人クラブ、スポーツクラブなどの活動を、一切控えていただくようなお願いもしてまいりました。
 
今思えば未知なる感染症との戦いで、皆さんの命を守るためやむを得ない手段でありましたが、これまで長きにわたり、連綿と続けてきていただいた活動を止めていただくことは、横須賀の誇る地域のつながりを、一時的にとは言え寸断してしまうことになりました。活動が継続できなくなったことにより、生きがいを失い、それまでの生活が難しくなってしまった方や、その活動自体が、今も休止状態となっている団体もあると伺っており、自責の念に駆られる時があります。
 
学校行事についても、またしかりです。今年卒業する中学生、高校生は、一度もクラスメートの素顔を見ないまま、そして文化祭や体育祭など、先輩後輩の垣根を超えた行事などを十分に実施できなかったまま、それぞれの卒業の時を迎えます。
 
ただ、これからは是非、あらゆる分野で、あらゆる人たちに、これまで薄れてしまった人と人とのつながりを、そして地域の絆を、コロナ前以上の形で、取り戻していっていただきたいと思います。
 
横須賀市としましても、皆様の活動を全力で応援させていただき、そして多様性を認め合い、誰もがお互いを慈しみあう「誰も一人にさせないまち」を目指し、邁進してまいります。
 
この予算は、元の日常を超えた新たな社会、第2の開国へ向け、編成しています。この3年間、常に開けない夜はない、やまない雨はない、出口のないトンネルはないと唱え続けながら、目の前の危機に、時にはアクセルとブレーキを同時に踏みながら、一歩でも前に進もうと全力を尽くしてきました。
 
長いトンネルを抜けるのは、もう、間もなくです。その暁には、アクセルだけを踏み込み、全速力で、市政を前進させていきます。
 
コロナにより失ったものよりも、得たもののほうがはるかに多かったと、まだ見ぬ未来で若者たちと誇ることができるよう、横須賀の実力を、さらに高めていく決意です。
 
ぜひ、市民の皆さん、市議会議員の皆さんとともに、横須賀の歴史を一つでも多く重ねていきたいと思いますので、これまで以上のご理解とご協力をお願い申し上げ、私の施政方針を終わります。
よろしくお願いいたします。

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