2025年07月22日
【市長特別顧問というnewポスト】(2025年7月22日 臨時議会)
「市長特別顧問」は必要か?――議案第80号に反対した理由
7月22日の7月臨時議会で、私たち会派「一市民」は、議案第80号「令和7年度横須賀市一般会計補正予算(第3号)」に反対しました。
この議案は、副市長を退任される田中茂氏を「市長特別顧問」として新たに非常勤特別職に登用するための予算を含むものです。
私たちが反対した理由は、個人の評価ではなく、制度としての妥当性と持続可能性に疑義があるからです。
1.既に市長の周囲には多くの特別職が存在している
市長のもとには、市長特命参与(構造改革担当・つなぐディレクター)、危機管理監、政策アドバイザーなど、すでに多くのサポート役が設置されています。これらの人件費だけでも年間2,000万円を超えており、さらに月額30万円をかけて新たなポストを設ける必要性について、市民への説明は十分とは言えません。
2.「田中副市長のためのポスト」ではないか
議案説明や市長答弁を通じて明らかになったのは、今回の市長特別顧問設置は「技術職の支援」以上に、「田中副市長だからお願いしたい」という“属人化”の要素が強いということです。上地市長自身も「田中副市長でなければならない理由がある」と明言しており、これは制度というよりも“人物に依存した配置”に他なりません。
3.人材育成の失敗を制度で補うべきではない
市長は「これからの4年間が集大成」と繰り返し述べていますが、その入口で「後継が育っていないから引き続きお願いしたい」と言わざるを得ない現実は、8年間の人材育成に課題があったことの裏返しではないでしょうか。
組織の継続性は制度と人材の育成によって担保されるべきです。特定の個人がいないと回らない組織は、健全な自治体運営とは言えません。
4.透明性とガバナンスにも懸念
市長特別顧問は「市長への助言」が役割とされながらも、実際には現場の部長・課長と関わる機会が多く、意思決定の過程が不透明になる懸念があります。これまでも若手職員からは「自分たちの声が届きにくい」という声も寄せられており、モチベーションや信頼感の低下につながりかねません。
5.今こそ、次代を育てるべき
質疑では、堀議員から、過去に行われた市職員アンケートの結果を紹介しました。人材育成に対して「力を入れていると思わない」と回答した職員が過半数に上っていたものです。今必要なのは、個人に頼ることではなく、組織として育て、任せる文化を醸成することです。
田中副市長のこれまでの貢献は疑いようがありません。特に本市のインフラ整備を支えてこられた技術系行政官出身のリーダーとして、その知見とネットワークは本市にとって大きな財産です。
しかし、だからこそ「制度としてどうあるべきか」という視点をもって、本議案を判断する必要があると私たちは考えました。
私たちは、健全で持続可能な行政運営を守るため、この議案に反対しました。