2023年06月16日

【教員の車通勤に関するルール等に関すること、およびジェンダー視点からの見直し】(2023年6月定例議会 環境教育常任委員会)

    ■教員の車通勤に関するルール等に関すること、およびジェンダー視点からの見直し


    6月定例議会の報告です。

    教員免許状を持っていて、かつ教員経験も豊富な友人からの相談がありました。
    聞けば、正規職員の教員は、新採用後1年間、通勤で自家用車が使えないとのこと。

    そして、これが驚くんですが、臨時的任用職員の教員は、そういう制限はなく自由に使えるのです。そうするとどうなるか?といいますと、

    ・また先生として働きたいなぁ、でも保育園の送り迎えがある、着任校が遠いかもしれないし、大丈夫かな…?

    ・あれ、臨時的任用職員だと自家用車OKなのに、正規職員だとだめなんだ…

    ・しかも、臨時的任用職員なら、どの学校で臨時的任用職員やりたいか考えてから応募すればいいけど、正規職員だとどこ行くか希望は出せないからな…

    ・じゃあ臨時的任用職員でいいや…ほんとは正規でやりたいんだけどさ…

    …ということで、せっかく先生として長く働き続けてくれるかもしれない仲間候補を、門前払いしてしまうことになりかねません。ということで何とかなりませんかね?という質問です。

    さらにいえば、これは、ジェンダー平等を巡る課題でもあります。
    往々にして、保育の課題は女性に多く押し寄せます。女性にとってより重たい課題が、あまり目を向けられることなく続いてしまって、女性のみならずその社会全体の屋台骨を少しずつ蝕んでいてもなお、それに気づけない。ジェンダー不平等のもたらす帰結です。

    質疑の結果、
    身体への配慮を必要とする・保育所への送迎等公共交通機関での通勤が困難な事情がある場合、そういう場合につきましては、個別に対応を行うことは考えられるかなというところです。
    という形で、保育所への送迎などの事情がある新採用・正規職員の先生も、自家用車使いたいですと学校長にしっかり相談できる根拠の答弁をくださいました。

    詳しくは、書き起こしをご覧ください。

    ーーー書き起こしーーー
    ▽加藤ゆうすけ
    学校の先生方が通勤される際の、自家用車の利用に関するルールは、市教育委員会としてはどのように認識していますか?
    ●教職員課長
    教職員が自家用車を利用して通勤する際は、学校長に通勤届を提出し、許可を受けることとなっています。その際、学校用地を駐車場所として利用する場合は、横須賀市立学校通勤用自動車等駐車場所管理要領に従って、許可申請手続きおよび月額での駐車料金支払い、つまり横須賀市への納付を行うこととなっているところです。
     
    ▽加藤ゆうすけ
    正規教員の場合、新採用から一定の期間、自家用車での通勤ができないと聞いていますが、あっていますか?
    ●教職員課長
    委員認識の通り、新採用の正規教員につきましては、地方公務員法に基づき、教員については1年間、その他の職種については6か月間が条件付き採用期間となるため、自家用車での通勤については控えるよう話をしているところです。
     
    ▽加藤ゆうすけ
    ありがとうございます。一方でですね、臨時的任用職員の教員の場合は、着任直後から自家用車での通勤について特段の取り決めはないように聞いていますが、いかがですか?
    ●教職員課長
    委員の認識の通り、臨時的任用職員の教員の場合、特段の取り決めはありません。
     
    ▽加藤ゆうすけ
    ここで私がすごく気にしているのはですね、まさに子育て期にある教員免許状保持者が、この臨任か・正規かの車通勤の差で、再び学校で教員をできるか・できないかの大きな分かれ目になるというところなのです。自家用車が通勤に利用できなければ、保育所への送迎距離ですとか、通勤距離によっては、結局働き続けられなくなるので、そもそも応募できないということになり、せっかく教員不足の中得られたかもしれない仲間をみすみす失うことになっているかなと思っています。
    当たり前ですが、地方公務員法に基づく条件付き採用の期間に事故を起こしてしまうと、という心配で、この規定は作られていると思うのですけれど、自家用車で事故を起こすリスクというのは、ドライバー歴の違いによるくらいなものだとおもうので、新採用だったから事故を起こしやすいとかいう話ではないと思います。この、正規と臨任で、車通勤の取り扱いが違うというのは、今、私から、きっと慮ってのことだろうと申し上げましたが、どのような理由ですか?
    ●教職員課長
    先ほど述べたところなのですが、新採用・正規職員につきましては、地方公務員法、ならびに教育公務員特例法に基づきまして、条件付き採用、教員につきましては採用から10月を経過した時点で、また、管理職勤務評価を行います。そして、その10月の期間で勤務成績が良好な場合は、1年を経たのち正規採用となります。養護教諭、事務職員、栄養職員は、採用から4月を経過した時点で勤務評価を行い、同様に良好な成績を収めている場合は正式採用となっております。
    そのような中で、先ほど委員がおっしゃいましたが、人身事故等の重大事故を起こした場合、懲戒処分となる可能性も考えられること、自らが大きなけがを負った場合、新採用・正規職員はこれもまた地方公務員法に定めがあるのですが、90日以上休む場合の休業の手続きが行えないという制度もありますので、こちらとしては、教職員を正規採用・本採用にいかせるためにも、ぜひそういったことを考えて、服務監督者の立場である市教委の判断のもと、学校長・新採用正規職員に話をしているところです。また、臨時的任用職員につきましては、繰り返しになりますが、任期に定めがあり、法令上の特段の取り決めがないので、自家用車の利用が可能となっております。
    ただし、委員のご発言の通り、身体への配慮を必要とする・保育所への送迎等公共交通機関での通勤が困難な事情がある場合、そういう場合につきましては、個別に対応を行うことは考えられるかなというところです。
     
    ▽加藤ゆうすけ
    ちなみに、市職員も、正規職員の新採用後一定期間、自家用車での通勤はできないんですか?それとも、市教委として独自のルールにしているという話ですか?
    ●教育総務部長
    市職員につきましては、条件付き採用期間が6か月となります。その間、特段自家用車のさだめはございません。公用車については運転ができないということになっております。
     
    ▽加藤ゆうすけ
    今、市職員と、教員でも差があるということが明らかになりました。
    最後に、やはりこれもですね、一つは、ジェンダー主流化がまだ実現できていないから起こる、臨任と正規の逆ざやなんじゃないかと聞いていて感じました。どういうことかというと、子育て期にですね、まだまだ女性側に負担が大きいので、教職員自身の保育を巡る課題というのもまだ、比較的いろいろな仕事の業界の中で男女割合がかなり釣り合いの取れているのが教職員の世界だと思っているのですけれども、それでもやっぱり、他の政策と比べて、この自家用車の部分は、焦点が当たりにくかったのかなと思いました。ここさえ改善すれば、私働けるのに!という声が結構あったわけです。こうした障壁があったときに、採用試験受けに来ない人は、わざわざ学校にそのことを言いに来てくれるわけでもないですし、やはり気づいたものを、一つずつこうやって検討していただければ、すべての政策の前提にジェンダー平等がある、ジェンダー主流化ができると思うのです。
    こうした、教員のかたがたを取り巻くルールみたいなところも、ぜひジェンダー視点で考え直せる部分があれば、考え直していただいて、今回ご答弁いただいたように、学校長と相談して、事情によっては、保育の関連の送迎という部分も事情によってというところでさっきおっしゃっていただきましたけれども、そういった事情によって(自家用車での)通勤ができるということはわかったので良かったのですが、是非今後、ジェンダー視点で考えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
    ●教職員課長
    ご意見ありがとうございます。これまでもですね、女性職員に限らず、教職員自身が、子育てしながら働きやすい、例えば短時間勤務制度、子育てに係る休暇制度の導入がはかられてきたところです。今後も様々な声に耳を傾けながら、職場環境の改善につとめます。

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