2022年03月02日
【代表質問を解説する 3 まちづくりについて】(2022年3月定例議会 代表質問)
加藤ゆうすけが質問者となった、よこすか未来会議代表質問の解説その3です。
まちづくりについて という章で括ったのですが、かなりいろいろなテーマを含む章となりました。すべてを背景から開設すると超大作になってしまうので、今回は港湾物流をめぐる取り組みについての質疑を紹介します。
■港湾大型事業への意欲が明らかとなった
北九州―横須賀を結ぶ新規フェリー航路の就航にあたっては、様々な対応が後手に回ったことで、横須賀港運協会や地域住民とのトラブルが大きく報道されるなど、決して順調な船出とは言えない状況がありました。その後、国土交通省の立会いという異例の対応で横須賀市港運協会とは合意が結ばれ、その中に、「第2突堤の整備」との文言が明記されたことから、港湾整備をめぐる大型事業への市側の意欲が明確になりました。こうした背景を踏まえ、以下のように質疑をしました。
―――質疑の引用――――
(2) 新規に見込まれる大型公共施設事業について
ア 横須賀港の第2突堤の整備に向けた本格検討を開始する件について
(ア)「横須賀港における諸問題への対応に関する基本合意」(2021/7/12)に記された第2突堤整備に向けた本格検討開始の意味するところについて、規模、建設に要する総費用及び年数など、現時点での市長の今後の見通しを問う。
▽加藤
横須賀新港に寄せられるニーズにこたえるべく、新規ふ頭(第2突堤)の整備への意欲を盛り込んだ横須賀港長期構想が2021年10月にパブリックコメント手続きを経ました。今年4月には港湾計画改定素案もパブリックコメント続きを迎えます。第2突堤の整備に向けた本格検討開始については、新規フェリー航路就航にあたってのトラブルを経て、国土交通省の立ち会いの下、横須賀市及び横須賀市港運協会が結んだ「横須賀港における諸問題への対応に関する基本合意」にも記され、上地市長の施政方針には、「埋め立てや港湾施設の整備を行い、物流拠点としての地位を向上」と述べられ、海洋都市横須賀として久しぶりの港湾に関する大型公共事業への動きが見え始めました。東京湾の出口にある横須賀港は、大混雑による速度制限のかかる東京湾内に深く入らずとも利用できる強みがありますが、近年の船舶の大型化を考えれば、水深に不安もあります。まずは、現在想定している新規ふ頭(第2突堤)の規模・建設に必要な総費用の見通しや年数など、現時点での市長の見通しについて伺います。
●上地市長
新たなふ頭の整備は、船舶大型化に対応しつつ、東京湾口部に位置する横須賀港の立地特性を生かし、新たな貨物を取り込むためと考えています。このために、完成自動車のみならず、様々な貨物を取り扱うための機能、新たなフェリー航路や貨物船などの物流拠点としての機能、さらには緑地などの交流施設や企業立地の産業用地も必要と考えています。これらの機能を持たせるため、埋め立てによる20ha程度の土地造成を行い、水深12mの岸壁や、多様な係留施設を整備したいと考えております。事業費は、今後行う現地水深や地盤調査結果によるが、数百億円かかると考えています。工事着手にあたっては、神奈川県環境影響評価条例に基づく環境調査や、工事の設計委託が必要であり、着工まで最短で3年程度を見込んでいます。さらに、一部でも早期供用ができるよう第一期工事、第二期工事と分けて工事することを考えていますが、最終的に完成するには、少なくとも10年はかかると想定している。しかしながら、一年でも早く完成するようスピード感をもって全力で取り組むよう指示したところです。
イ 完成自動車の輸出が主になることが見込まれる新港の採算性についての見通し
●上地市長
新港整備後も、取扱量一定程度を占めることを想定している。一方、首都圏の消費や産業活動の支え、船の大型化、物流効率化など多くの機能に対応せねばならない。様々なものを取り扱えるようにしつつ、社会経済機能の変化をとらえ、貨物を絶やすことのない、ふ頭整備を進めることで、採算性を見込む。
▽加藤
フェリー就航前の新港は、水産品の取扱いはあれど、そのほとんどが完成自動車の輸出港としての利用で占められていました。この度、フェリーが新規に就航しましたが、依然として完成自動車の輸出というビジネスが、新港の利用に占める影響は大きいです。今後、巨額の費用を投入し新規ふ頭を整備する際に、長期的な視点に立った採算性の確保は必須ですが、どのような見通しをお持ちでしょうか。伺います。
ウ 本市の財政状況が厳しい中で大型公共事業の検討を本格開始するにあたっての財政面での見通しについて
▽加藤
また、横須賀港は重要港湾、すなわち、港湾法で定められた港格の一つで、 海上輸送網の拠点となり国の利害に重要な関係を有する港湾として位置付けられておりますが、本市の財政状況が厳しい中で、大型公共事業の検討を本格開始するにあたって、国の補助なども含めた、財政面での見通しは、いかがでしょうか。伺います。
●上地市長
港湾法による国直轄施設以外は、補助事業の対象となるものがある。そのため、新規ふ頭整備にあたっては、可能な限り国直轄事業を活用する。市の負担を少しでも小さくするよう、計画段階から知恵を絞り、国と協議します。私自身も先頭に立ち、国に積極的に働きかけます。
エ 新港フェリー就航にあたっては、地域住民への丁寧な説明を欠いたことによるトラブルもあったが、新港地区の利用を今後活性化させるにあたって、地域住民の意見とどのように向き合うのか。
▽加藤
新港フェリー就航にあたっては、地域住民への丁寧な説明を欠いたことによるトラブルもありました。新規ふ頭が整備される予定区域は、現在のふ頭よりもすこし南側に位置し、また違った地域住民の方が、工事地域に直面することになります。新港地区の利用を今後活性化させるにあたって、地域住民の意見とどのように向き合うのか、伺います。
●上地市長
新規ふ頭の整備、海洋都市実現に向け、必要不可欠なものであると考えています。整備に伴う周辺住民の住環境変化など、住んでいる皆さんの不安、いろいろご意見もあるかもしれません。住民の皆様のご理解を得るため、地元自治会町内会にも、例えば出前トーク・チラシなども活用し、しっかり説明したいと考えます。
―――――質疑の引用終了――――
・埋め立てによる20ha程度の土地造成を行う
・水深12mの岸壁や、多様な係留施設を整備する
・事業費は、今後行う現地水深や地盤調査結果によるが、数百億円かかる見込み
という新情報が明らかとなりました。
事業費は、質問前から、おそらく数百億単位だろうがまだ明確にはならないだろうと思っていたので驚きはありませんが、20haを埋め立てで生み出すというのは、やはり本市にとっての久々の大型港湾整備ですので、今後採算性の見込みをどのように立てていくのか、市側の考えを見たいと思います。
※質疑後、2022年2月28日に、横須賀港長期構想は策定完了しました。
概要版を閲覧できます
https://www.city.yokosuka.kanagawa.jp/6630/nagekomi/documents/yokosukakouchoukikousougaiyouban.pdf