2022年02月28日
【代表質問を解説する 1 施政方針について】(2022年3月定例議会 代表質問)
加藤ゆうすけが質問者となった、よこすか未来会議代表質問の解説です。
■1 施政方針について
2022年度は、次期基本構想・基本計画(8年間)の開始年度であり、次期実施計画(4年間)の開始年度であり、この3月定例議会は新年度予算案に関する質疑を通じて、4年先、8年先を意識した市政運営を目指す重要な舞台です。この章では、市長の施政方針から主に福祉政策への考え方、財源論(歳入確保、行財政改革、財政調整基金)、そして近年類を見ない大掛かりな市役所部局再編について問いました。
■次期4年間の第一の柱に「福祉」がきた
2018-2021年の4年間の実施計画の第一の柱は、「経済・産業の再興」でした。しかし、日常生活を送る中で、自治体に充実した福祉政策を求める切実な声が高まる中、第一の柱に経済産業が来ていたことに私は違和感を覚えていました。なので、今回、第一の柱に「福祉」がきたことを評価しています。
ただ、これだけだと、具体的にどのような考えが背景にあるのかわかりませんので、質問しました。
―――――質疑から引用―――――
(1) 次期実施計画「横須賀再興プラン(2022-2025)」と財政見通しについて
ア まちづくりの3つの方向性と5つの最重要施策について
(ア) まちににぎわいと活気→経済再興→増収分を福祉への論理について
a 第一の柱に「地域で支えあう福祉のまちの再興」を位置づけた理由について
▽加藤
まず、上地市長の施政方針について伺います。上地市政の根底には、本市の持つ地域資源を活かし、投資を呼び込み、来訪者を増やし需要を喚起、地域経済を活性化し、税収を押し上げ、生まれた財源をもとにさらなる市民生活や福祉の向上を実現するという「地域経済と福祉の好循環」の論理が常にあります。福祉政策への期待を寄せる住民の切実な声は、日に日に増しています。財源なくして政策実現はありえませんから、ぜひ積極的に進めていただきたいと思います。今回、実施計画の最重点施策には、第一の柱に「地域で支えあう福祉のまちの再興」が位置づけられていました。音楽・スポーツ・エンターテイメントは、その先にある福祉の充実のためのものなのだと、市民の皆様にわかりやすく感じていただけるよう、第一の柱に「地域で支えあう福祉のまちの再興」を位置づけた理由について、市長の考えを伺います。
●上地市長
当然のことですが地方自治体の役割は住民福祉の増進にありますので、私としては何よりも一番目の柱は福祉だと思っています。しかし、4年前当選時は地域経済が疲弊しており、まずは経済活性化への道筋を示すことが何よりも必要だと考え、第一の柱を経済産業に据えて、この4年間全力で取り組んだ。これにより、経済もようやく復活への道筋が見えてきたのではないかと思っている。こうしたことから、改めて、目指す街の姿が、当然のことでありますが、福祉社会であることを市民の皆様に示す時期が来たと考え、今回のプランでは福祉を第一の柱にしました。
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足元の経済状況に関する認識は、上地市長のそれと私のは若干異なりますが、福祉に力を入れる姿勢を明確にすることはわかりました。求め続けて、ちょっとずつ上地市長の方向性も、私たちの思うものに近づけられているようには感じました。
■財源論(歳入確保、行財政改革、財政調整基金)は、歳入確保の議論がかなり盛り上がった
行財政改革によって、無駄な費用を抑えることと同時に大切なのが、歳入の確保です。自治体も自らの歳入を積極的に確保しなければ、福祉政策に充てる財源は得られないので、ここは大切な観点です。今回、企業版ふるさと納税の仕組みを絡めて、問いました。
―――――質疑から引用―――――
d 企業版ふるさと納税の活用に気候変動対策を盛り込むことについて
▽加藤
各分野への投資には、財源が必要です。財源確保策の一つとして、企業版ふるさと納税があります。地方公共団体が行う地方創生の取組に対する企業の寄附について法人関係税を税額控除するものですが、寄附企業への経済的な見返りは禁止された制度5です。本市でもすでに、企業版ふるさと納税の活用の前提となる地域再生計画6が作られ、令和3年度補正予算では、企業版ふるさと納税を活用し、企業との協働が実現しています。
寄付企業への経済的な見返りが禁止された制度ですが、寄付行為によって、その企業のイメージがアップするような制度設計は可能です。本市の豊かな自然資源を保全し、温室効果ガスの吸収に生かし、「ゼロカーボンシティ宣言」をした本市として実効性ある取り組みを進めるために企業版ふるさと納税を活用することは、本市の地方創生にも、寄付いただく企業のイメージアップにもつながります。企業版ふるさと納税の活用先に、気候変動対策を盛り込むことについて、市長に伺います。
●上地市長
企業が自治体の取り組みに賛同し寄付する企業版ふるさと納税は、民間活力活用の視点からこれまでも積極活用している。民間企業が寄付したいと思える横須賀市独自の特色ある施策・取り組み充実が不可欠。近年環境に関する企業の関心が高まっており、この分野でのご寄付をいただくのも大きな可能性があると思います。たとえば、横須賀の海を活かしたブルーカーボン事業など、特色あるゼロカーボンに向けた取り組みを推進し、企業版ふるさと納税の獲得に向けて積極的に取り組んでいきたいと思います。
――――――質疑引用終わりーーーーーー
このように、企業版ふるさと納税を気候変動対策にもあてることに前向きな答弁が得られました。企業にも良くて、市民にも良くて、行政にも良い仕組みで歳入を増やすための一つの案として、実現を願っています。
また、財源論を巡っては、このほかにも一問一答形式でも質疑を交わしました。
――――――質疑引用―――――――
▽加藤
この後の質問につながるのですが、財政調整基金の見通しが横須賀再興プランでも中長期見通して2030年度には財源不足額が基金残高上回るとはっきり書いてくれていましたし、その点で危機感共有し、ここが発射台になるのかなということで。現状、福祉政策を大事にするのは重要です。ここは特に、高齢者福祉政策で、このままのサービスのありかたで持続可能なのかというところを、大きく市長のお考えを伺う意味合いで伺いましたので、ご答弁いただければと思います。
●上地市長
意味が分かりました。財政は、これからまずひっ迫することが間違いないのは事実で、ただ、歳入をどうするかが一番大切だと思います。いままでの政治行政は歳出をどうするかばかりなので、歳入をどうするかに関して、まず議論を始めるべき。国県から様々な補助金を持ってくると同時に、民間と連携し様々な施策を持ってくる。産業構造を転換しながら、歳入増やしながらそれに見合った高齢者福祉を考えなければならない。本来、単体で、高齢者福祉を充実させなければならないのは当たり前の話。ただ、税収は減ってくる中で、歳入を増やし、できる限り質を落とさず、これからの安心して老後を送るためにと考えなければならない。その中で、財政調整基金とどうやって兼ね合いをとっていくのかは難しい問題で、議員の時からその話はずっとしているんですよ。たぶん、平成9年ぐらいから3倍位にこれ福祉の、かかるお金はなっている中でじゃあどうするか、しかも財調を残しながらどうするか、これは難しいかじ取りなんですよ、誰しも当たり前。最大限の福祉を、そして誰もひとりにさせないまちにするためには、じゃあどこにいくかってなれば、福祉社会しかないわけで、とりわけ高齢者福祉には全力を挙げていきたい。ただその中でどうするかっていうと、歳入も考えないといけないのは事実で、これは横須賀だけではなくて、どこの自治体も同じ課題を抱えていると思います。
―――質疑終わり――――――
施政方針に対する部分だけではなく、私たちの質問は全般的に、「ちゃんとやることを絞って、取り組もうよ」という内容です。福祉政策の充実=際限なきサービスのばらまきではない、より効果的な政策を、明確な裏付けをもって打ち出していこうという考えです。なので、厳しい財源を前に、見直し・廃止せざるを得ない福祉政策もあると考えています。以後の質疑も次回以降のブログで紹介していきたいとおもいます。